堀 宏恵

堀 宏恵

吾輩は犬である。名前は「ダイチ」

Hiromi Hori
専務執行役員

吾輩は犬である。名前は「ダイチ」という。

吾輩は犬である。名前は「ダイチ」という。吾が父上は、堀宏恵(ほりひろみ)である。
 僕がこの家に来て、7年になるが、父の性格が今だにはっきり掴むめていない。母は喜怒哀楽がはっきりしていて、趣味についても料理と畑いじり。家にいる時は台所か畑か庭の手入れをしている。

 僕が美味しい匂いに誘われ思わず台所へ足を踏み入れば、「男の子が台所でうろうろするものじゃない」と言って叱ってくれる。その他、叱られる内容もだいたい理屈が通っているので理解できる。
 その反面、父は、いきなり「ゴツン」と頭を叩く。口よりも手が早いのである。僕としては多分、何かを散らかしたとか、囓ってはいけないものを囓ったとか、大事な花を折ったとか。叩かれた僕がウ~ン「何したんやろ?」と考え込む。
 僕は血液型で性格を4分轄するのは反対だが母がO型、父はAB型と聞いた時う~んなるほどと唸ってしまった。ちなみに僕はO型である。
 父は家で何もすることがない時、大体酒を飲みながら読書に勤しんでいる。趣味らしい事の一つかもしれない。
 僕からみた父の特技は結構器用なところがあって家の周りの物置など日曜大工で作ってしまう。やる時はやるのだ。
 やるといえば、父の出社の日と休みの日は、その日の朝、はっきり分かる。出社の日は、朝から、顔付が違い、父がネクタイを締めた瞬間、僕は一日の終りを感じる。
 何日間に一度か二度、隣りに寝ていた父の顔が、朝も、昨夜と同じ顔の時がある。(いつもと同じ朝を迎えても、僕にはわかるのだ。) 僕の期待が膨らむ瞬間である。その後、いつもの散歩(時々、手を抜くのは許せぬ。)を終え、着替えは?おッ・ネクタイは?おッ・おッ・・・。「本日は父が休みじゃ」よしっ。 僕の一日が始まる。
 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、父は毎日の朝を迎えるようだ。(父にすれば、その日朝を迎えられる事がうれしいのかも。毎日、毎日、人生が終わってもいい位、その日を生き抜いてるんですって。)僕は、明日も有ると思い今日を生きてるんやけど・・・。
 僕は毎夜、父と一緒に寝る。父のふとんの中にもぐり込み、手枕をしてもらいながら眠る。父は「重たい」「ソファ-で一人で寝ろ」とか言っているが解かるんです。父の顔を見れば、声を聞ば・・・。
 そんな父の喜びを奪うつもりはない。吾輩も父の手枕のお蔭で毎夜いい夢を見る事ができる。父は、1956年生まれで50年以上人間として生きている。
 そろそろ進化し、犬になり僕と一緒に野原を駆け回る。それも、いつもの、亀岡市東本梅町の花畑で、かくれんぼをしながら・・・。
 そんな素敵な夢を今晩も見るため、僕は酒臭いふとんにもぐり込む。